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Japanische Klassiker mit Furigana

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かれい

家霊

岡本 かの子

Lesen Sie 家霊 (かれい) von 岡本 かの子 (おかもとかのこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 9.395 Zeichen · 19 Bildschirme

Aozora Bunko

すると炉に焙っていた年長の出前持が今夜に限って頭を擡げて言った。

「そりゃいけませんよお嬢さん。暮れですからこの辺で一度かたをつけなくちゃ。また来年も、ずるずるべったりですぞ」

この年長の出前持は店の者の指導者格で、その意見は相当採上げてやらねばならなかった。で、くめ子も「じゃ、ま、そうしよう」ということになった。

茹で出しうどんで狐南蛮を拵えたものが料理場から丼に盛られて、お夜食に店方の者に割り振られた。くめ子もその一つを受取って、熱い湯気を吹いている。このお夜食を食べ終る頃、火の番が廻って来て、拍子木が表の薄硝子の障子に響けば看板、時間まえでも表戸を卸すことになっている。

そこへ、草履の音がぴたぴたと近づいて来て、表障子がしずかに開いた。

徳永老人の髯の顔が覗く。

「今晩は、どうも寒いな」

店の者たちは知らん振りをする。老人はちょっとみんなの気配いを窺ったが、心配そうな、狡そうな小声で

「あの――註文の――御飯つきのどじょう汁はまだで――」

と首を屈めて訊いた。

註文を引受けてきた出前持は、多少間の悪い面持で

「お気の毒さまですが、もう看板だったので」