Japanische Klassiker mit Furigana
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いえ
家
島崎 藤村
Lesen Sie 家 (いえ) von 島崎 藤村 (しまざきとうそん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 141.411 Zeichen · 285 Bildschirme
叔父達に反抗する心が起った。彼女は余程自分でシッカリしなければ成らないと思った。弱い、年をとった母のことを考えると、泣いてばかりいる場合では無いとも思った。その晩は母と二人で遅くまで起きて、不幸な父の為に旅の衣服などを調えた。
「母親さん、すこし寝ましょう――どうせ眠られもしますまいけれど」
と言って、お俊は父の側に寝た。
紅い、寂しい百日紅の花は、未だお俊の眼にあった。彼女は暗い部屋の内に居ても、一夏を叔父の傍で送ったあの郊外の家を見ることが出来た。こんなに早く父に別れるとしたら何故父の傍に居なかったろう、何故叔父を遠くから眺めて置かなかったろう。
「可厭だ――可厭だ――」
こう寝床の中で繰返して、それから復た種々な他の考えに移って行った。父も碌に眠らなかった。何度も寝返を打った。
未だ夜の明けない中に、実は寝床を離れた。つづいてお倉やお俊が起きた。
「母親さん、鶏が鳴いてるわねえ」
と娘は母に言いながら、寝衣を着更えたり、帯を〆たりした。
赤い釣洋燈の光はションボリと家の内を照していた。台所の方では火が燃えた。やがてお倉は焚落しを十能に取って、長火鉢の方へ運んだ。