Japanische Klassiker mit Furigana
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いえ
家
島崎 藤村
Lesen Sie 家 (いえ) von 島崎 藤村 (しまざきとうそん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 141.411 Zeichen · 285 Bildschirme
「へえ、阿爺さんのような人でもそんなことが有りましたか」
三吉は正太と顔を見合せた。誰かクスクス笑った。
その晩は、三吉、正太夫婦なぞが起きていて、疲れた親子を横に成らせた。お倉は、遠い旅にある夫、他へ嫁く約束の娘、と順に考えて、寝ても寝られないという風であった。心細そうに、お俊の方へ身体を持たせ掛けた。
「鶴ちゃんが死んで了えば、私はもう誰にも掛るものが無い――真実に、一人ぼッち」
「母親さん、そんなことを言うもんじゃ無くってよ」
「ヤア、ヤア――どうも御苦労様でした」
お鶴の葬式が済んだ後で、三吉は正太を自分の家へ誘って来た。一緒に二階の部屋へ上った。
お雪は夫の好きな茶を入れて持って来た。障子を開けひろげて、三吉は正太と相対に坐った。
「叔母さん、すこし吾家も片付きました。ちと何卒被入って下さい。経師屋を頼みまして、二階から階下まですっかり張らせました」
「正太さんの今度の御家は大層見晴しが好いそうですネ」
「ええ、まあ川はよく見えます。そのかわり蛞蝓の多いところで、これには驚きました。匍った痕が銀色して光っています。なんでもあの辺から御宅あたりへ掛けて、蛞蝓が名物ですトサ……叔父さんも何卒復たお近いうちに……御宅から吾家までは、七八町位のものですから、運動かたがた歩いて被入しゃるには丁度好う御座んす」