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Japanische Klassiker mit Furigana

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いえ

家

島崎 藤村

Lesen Sie 家 (いえ) von 島崎 藤村 (しまざきとうそん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 141.411 Zeichen · 285 Bildschirme

Aozora Bunko

だトサ――あれで、菊ちゃんも、ナカナカ外交家だったネ」

「何方が外交家だか知れやしない」とお雪は軽く笑った。

病児を慰めようとして、三吉は種々なことを持出した。山に居る頃はお房もよく歌った兎の歌のことや、それからあの山の上の家で、居睡してはよく叱られた下婢が蛙の話をしたことなぞを言出した。七年の長い田舎生活の間、あの石垣の多い傾斜の方で、毎年のように旅の思をさせた蛙の声は、まだ三吉の耳にあった。それを子供に真似て聞かせた。

「ヒョイヒョイヒョイヒョイヒョイ……グッグッ……グッグッ……」

「いやあな父さん」

とお房は寝ながら父の方を見て言った。自然と出て来た微笑は僅かにその口唇に上った。

「房ちゃん、母さんが好い物を造えて来ましたよ――すこし飲んでみておくれな」

とお雪は夫が買って来たミルク・フッドを茶碗に溶かして、匙を添えて持って来た。子供は香ばしそうな飲料を一寸味ったばかりで、余は口を着けようともしなかった。その晩から、お房は一層激しい発熱の状態に陥った。何となくこの児の身体には異状が起って来た。

「真実に、串談じゃ無いぜ」

と三吉は物に襲われるような眼付をして、いかにしてもお房ばかりは救いたいということを妻に話した。