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Japanische Klassiker mit Furigana

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いえ

家

島崎 藤村

Lesen Sie 家 (いえ) von 島崎 藤村 (しまざきとうそん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 141.411 Zeichen · 285 Bildschirme

Aozora Bunko

兄さんや姉さんの傍に居られるだけは、東京も好いけれど――」とお仙は皆なの顔を見比べながら言った。

三吉が別れを告げて、この家を出たのは町に燈火の点き始める頃であった。薄暗く成って、復た三吉は引返して来た。つづいて森彦も入って来た。

「オヤ、三吉叔父さん、森彦叔父さんも御一緒に……」

と豊世は迎えに出た。二人の叔父は用事ありげに下座敷へ通った。

「叔父さん達は御風呂は如何ですか」と豊世は款待顔に、「今日は、郷里へ帰る人の御馳走に立てましたところですが――」

「それじゃ、とにかく一ぱい入るとしよう」と森彦が言った。

皆な出発するという前の晩のことで、何となく家の内は混雑していた。

食事を済ました後、叔父達は二階の縁側に近く居て、風呂から出る正太を待受けた。屋外は最早暗かった。お仙は煙草盆の火を見に上って来た。

森彦は胡坐にやりながら、

「お仙、兄さんは未だお風呂かネ」

「いえ、もう上ったずら……これから私達もよばれるところだ」

こう言って、お仙は一寸縁側へ出た。沈んだ空気は対岸の町々を遠くして見せた。河は湖水のように静かであった。お仙は欄のところから夜の空を眺めて見て、やがて階下へ引返して行った。