Japanische Klassiker mit Furigana
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いえ
家
島崎 藤村
Lesen Sie 家 (いえ) von 島崎 藤村 (しまざきとうそん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 141.411 Zeichen · 285 Bildschirme
その時、豊世もお仙と一緒に、浴衣でやって来た。叔父の猛烈な語勢が、階下にいる老婆はおろか、どうかすると隣近所までも聞えそうなので、心の好いお仙は沈着いていられないという風であった。母の傍へ行ったり、兄の顔を眺めたりして、ハラハラしていた。
「森彦――お前の言うことは、好く解った……好く解った……正太も、叔父さんの言うことをよく聞いて置いて、橋本の家を興してくれるが可いぞや……ええ、ええ、それを忘れるようなことじゃ、申訳が無いで……」
こうお種は言いかけたが、興奮のあまり声が咽喉へ乾干び付いたように成った。豊世も姑の側に考深い眼付をして、女持の煙管で煙草を燻していた。
「今までの家風は、皆なが言うことを言わなさ過ぎたと思いますわ」と豊世は顔を揚げて、「母親さん、これから皆なでもっと言うことにしようじゃ有りませんか」
軽い、無邪気な、お仙の笑声が起った。
漸く、一同、笑って話すことが出来るように成った。森彦も愛嬌のある微笑を見せて、
「なんでも人間は信用が無くちゃ駄目だ。俺なんかも、十年一日のごとしで、志ばかり徒に大きいようなものだが、信用を失わないように心掛けているんで持ってる……」