Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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いえ

家

島崎 藤村

Lesen Sie 家 (いえ) von 島崎 藤村 (しまざきとうそん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 141.411 Zeichen · 285 Bildschirme

Aozora Bunko

なんて、よく父さんがそんなことを私に言いますよ」

「へえ、父さんはそういう心でいるのかねえ」

こうお雪と母親とで話しているところへ、勉が商人風の服装をして、表から入って来た。勉は大阪まで行って来たことから、東京での商用も弁じた、荷積も終った、明日は帰国の途に就くことなぞを話した。この人とお雪の妹との間には、最早種夫と同年の子供がある。

「父さん、※がお別れに参りました。一寸逢ってやって下さい」

と名倉の母が階梯の下から呼んだ。

三吉も談話の仲間に入った。快活な世慣れた勉の口から、三吉は種々な商人の生活を聞くことを楽んだ。勉もよく話した。

勉とお雪の愛。それを知って、三吉が二人を許してから、可成長い月日が経つ。三吉は勉に交際ってみて、好くその気心も解った。以前のことは最早昔話のように思われるまでに成っていた。制え難い不安の念につれて、幾年となく忘れられていた苦痛が復た起って来た。男同志さしむかいでいれば、三吉の方でも快心く話せる。そこへお雪が入って来ると、妙に彼は笑えなかった。

勉は三吉の蒼ざめた顔を眺めて、

「しかし、小泉さんも御多忙しいでしょう」

「ええ、ええ、多忙しい人です」