Japanische Klassiker mit Furigana
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いえ
家
島崎 藤村
Lesen Sie 家 (いえ) von 島崎 藤村 (しまざきとうそん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 141.411 Zeichen · 285 Bildschirme
「こんな折にでも話さなければ話す折が無い」と言って、幸作はどんなに正太の成功を祈っているかということを話した。苦心して蓄積したものは正太の事業を助ける為に送っているということを話した。お仙を連れて空しく東京を引揚げてからのお種は、実に、譬えようの無い失望の人であった――こんなことを話した。
「兄様さえ好くやってくれたら、私は何事も言うことは無い――私は今、兄様の為に全力を挙げてる――一切の事はそれで解決がつく」
と幸作は力を入れて言った。
姑と若夫婦と両方から話を聞かされて、三吉は碌に休むことも出来なかった。その晩も、彼は奥座敷の方へ行って、復たお種の歎きを聞いた。姉は遅くなるまで三吉を寝かさなかった。
夜が更れば更るほどお種の眼は冴えて来た。
「姉さん、若いものに任せて置いたら可いでしょう」
と三吉が言うと、姉はそれを受けて、
「いえ、だから俺は何事も言わん積りサ――彼等が好いように為て貰ってるサ――」
こういう調子が、どうかすると非常に激して行った。幸作夫婦が始めようとする新しい生活、ドシドシやって来る鉄道、どれもこれもお種の懊悩しい神経を刺戟しないものは無かった。