Japanische Klassiker mit Furigana
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いえ
家
島崎 藤村
Lesen Sie 家 (いえ) von 島崎 藤村 (しまざきとうそん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 141.411 Zeichen · 285 Bildschirme
峠の一部落から一緒になった男と連立って進んで行くと、子供の時に見馴れた山々が谷の向にあらわれて来た。
「三吉様。その外套も私が持たず」
と連の男が往時と同じ調子で言って、辞退する三吉の外套を無理やりに引取った。この男は、「カルサン」を穿いて、三吉の荷物まで自分の肩に掛けていた。
「構って下さらない方が、私は難有いんです。今度は唯墓参りに来たんです」
こう話し話し行く三吉は、高い山の上の日のあたった道を歩いていた。旧い馴染の人達に見つからないうちに、彼は独りで、自分の生れた家の跡を見て廻ろうとした。途中で、寺の方へ向う連の男に別れた。
洋服に草鞋穿で、寂しい旅人のように、三吉は村へ入った。ずっと以前大火があって駅路の面影もあまり残っていなかった。そこは美濃路の方へ下りようとする山の頂にあった。傾斜に成った道の両側には、新規に建った家だの、焼残った家だのが、樹木の間に出たり引込んだりして並んでいた。畠に成っているところもあった。
石垣の上には十一二ばかりに成る女の児が遊んでいた。猿羽織というものを着て、何処の人が通るかと三吉の方を見ていた。三吉は勝手が違ったように、心覚えの場所を探した。