Japanische Klassiker mit Furigana
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いえ
家
島崎 藤村
Lesen Sie 家 (いえ) von 島崎 藤村 (しまざきとうそん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 141.411 Zeichen · 285 Bildschirme
草木も青白く煙るような夜であった。お俊を連れて、養鶏所の横手から彼の好きな雑木林の道へ出た。月光を浴びながら、それを楽んで歩いていると、何処で鳴くともなく幽かな虫の歌が聞えた。その道は、お房やお菊が生きている時分に、よく随いて来て、一緒に花を摘ったり、手を引いたりして歩いたところである。不思議な力は、不図、姪の手を執らせた。それを彼はどうすることも出来なかった。「こんな風にして歩いちゃ可笑しいだろうか」と彼が串談のように言うと、お俊は何処までも頼りにするという風で、「叔父さんのことですもの」と平素の調子で答えた。この「こんな風にして歩いちゃ可笑しいだろうか」が、彼を呆れさせた。
「馬鹿!」
三吉は窓のところに立って、自分を嘲った。
お俊やお延は中の部屋に机を持出した。「お雪叔母さん」のところへ手紙を書くと言って、互に紙を展げた。別に、お俊は男や女の友達へ宛てて送るつもりで、自分で画いた絵葉書を取出した。それをお延に見せた。
お延はその絵葉書を机の上に並べて見て、
「お俊姉さま、私にも一枚画いておくんなんしょや」
と従姉妹の技術を羨むように言った。
お俊に絵画を学ぶことを勧めたのは、もと三吉の発議であった。