Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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いえ

家

島崎 藤村

Lesen Sie 家 (いえ) von 島崎 藤村 (しまざきとうそん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 141.411 Zeichen · 285 Bildschirme

Aozora Bunko

十時過ぎまで待った。到頭お俊は帰らなかった。

次第に三吉は恐怖を抱くように成った。いつもお俊が風呂敷包の置いてあるところへ行ってみると、着物だの、書籍だのは、そのままに成っているらしい。三吉はすこし安心した。自分の部屋へ戻った。

「俊は最早帰って来ないんじゃないか」

夜が更けるに随って、こんなことまで考えるように成った。

壁には、お房の引延した写真が額にして掛けてある。洋燈の光がその玻璃に映った、三吉は火の影を熟と視つめて、何をお俊が母親に語りつつあるか、と想像してみた。近づいて見れば、叔父の三吉も、従兄弟の正太とそう大した変りが無い……低い鋭い声で、こう語り聞かせているだろうか。それは唯考えてみたばかりでも、暗い、遣瀬ない心を三吉に起させた。

「俊はまた、何を間違えたんだ。俺はそんな積りじゃ無いんだ」

臆病な三吉は、こうすべてを串談のようにして、笑おうと試みた。「叔父さん、叔父さん」と頼みにして来て、足の裏を踏んでくれるとか、耳の垢を取ってくれるとか、その心易だてを彼はどうすることも出来なかったのである。「結婚しない前は、俺もこんなことは無かった」