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Japanische Klassiker mit Furigana

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いえ

家

島崎 藤村

Lesen Sie 家 (いえ) von 島崎 藤村 (しまざきとうそん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 141.411 Zeichen · 285 Bildschirme

Aozora Bunko

山を発つ時にも、日取が悪いから、一日延ばせというものを無理に発ったりなんかして、だからあんな不幸が有るなんて、後で近所の人に言われたりする……それはそうと、何だか私はこの家に居るのが厭に成った」

こう言う妻の為にも、三吉は家を移そうと決心した。

信心深い植木屋の人達は又、早く三吉の去ることを望んだ。何か、彼が禍を背負って、折角新築した家へケチを付けにでも来たように思っていた。それを聞くにつけても、三吉は早く去りたかった。

外濠線の電車は濠に向った方から九月の日をうけつつあった。客の中には立って窓の板戸を閉めた人もあった。その反対の側に腰掛けた三吉は、丁度家を探し歩いた帰りがけで、用達の都合でこの電車に乗合わせた。彼は森彦の旅舎へも寄る積りであった。

昇降する客に混って、二人の紳士がある停留場から乗った。

「小泉君」

とその紳士の一人が声を掛けた。三吉は幾年振かで、思いがけなく大島先生に逢った。

割合に込んだ日で、大島先生は空いたところへ行って腰掛けた。三吉と反対の側に乗ったが、連があるのと、客を隔てたのとで、互に言葉も替さなかった。二人は黙って乗った。