Japanische Klassiker mit Furigana
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いえ
家
島崎 藤村
Lesen Sie 家 (いえ) von 島崎 藤村 (しまざきとうそん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 126.748 Zeichen · 254 Bildschirme
と口の中で言ってみて、復た考え沈んだ。
暮れてから、三吉と直樹とは奥の部屋に洋燈を囲んで、一緒に読んだり話したりした。
急にお雪は嘔気を覚えた。縁側の方へ行って吐いた。
「姉さん、どうなすったんですか」
と直樹はお雪の側へ寄って、背中を撫でてやる。
「ナニ、何でもないんです」とお雪は暫時動かずにいた後で言った。「難有う――直樹さん、もう沢山です」
この嘔吐の音は直樹を驚かした。三吉は何か思い当ることが有るかして、すこし眉を顰めた。流許の方から塩水を造って持って来て、それを妻に宛行った。
その晩は、お雪はお福と一緒に蚊帳を釣って、平常より早くその内へ入った。蚊が居て煩いと言いながら、一度横に成った姉妹は蝋燭を点して、蚊帳の内を尋ね廻った。緑色に光る麻蚊帳を外から眺めながら、三吉と直樹の二人は遅くまで読んだ。
お雪は何時までも団扇の音をさせていたが、夫や直樹の休む頃に復た起きて、蚊帳の外で涼んだ。三吉も寝る仕度をして、子供の枕許を覗くと、お雪が見えない。
「何しているんだろうナア」
こう独語のように言って、三吉は探してみた。表の入口の戸が明いていた。隣近所でも最早寝たらしい。