Japanische Klassiker mit Furigana
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いえ
家
島崎 藤村
Lesen Sie 家 (いえ) von 島崎 藤村 (しまざきとうそん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 126.748 Zeichen · 254 Bildschirme
「医者? 医者の言うことなぞがどうして宛に成りましょう。女の病気とさえ言えば、直ぐ歇私的里……」
曾根の癖として、何時でも自身の解剖に落ちて行く。彼女はそこまで話を持って行かなければ承知しなかった。
「私の友達で一緒に音楽を始めました人も、そう申すんで御座いますよ――私ほど気心の解らない者は無い、こうして十年も交際っているのにッて」曾根は自分で自分を嘲るように言った。
三吉も冷やかに、「貴方のは――誰もこう同情を寄せることの出来ないような人なんでしょう」
「では、私を御知りなさらないんだ」と言って、曾根は寂しそうに笑って、「昨晩は悲しい夢を見ましたんで御座いますよ……」
三吉は曾根のションボリとした様子を眺めた。
「私は死んだ夢を見ました……」
こう言って、曾根は震えた。暫時二人は無言でいた。
「ああ……私は東京の方へ帰るという気分に成りません。東京へ帰るのは、真実に厭で……」曾根は嘆息するように言出した。
「してみると、貴方も孤独な人ですかネ」と言って、復た三吉は巻煙草を燻した。窓の外は陰気な霧に包まれたり、時とすると薄日が幽かに射したりした。
旅情を慰める為に、曾根が東京から持って来た書籍は机の上に置いてあった。