Japanische Klassiker mit Furigana
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いえ
家
島崎 藤村
Lesen Sie 家 (いえ) von 島崎 藤村 (しまざきとうそん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 126.748 Zeichen · 254 Bildschirme
「よしんば、そうでないと致したところで」と嘉助は言葉を継いで、「家の格が違います。どうして、お前さま、あんな家から橋本へ貰えるものかなし……」
暮れかかって来た。屋根を越して来る山の影が、庭にもあり、一段高く斜に見える蔵の白壁にもあり、更に高い石垣の上に咲く夕顔南瓜などの棚にもあった。この家の先代が砲術の指南をした頃に用いた場所は、まだ耕地として残っていたが、その辺から小山の頂へかけて、夕日が映っていた。
百姓の隠居も鍬を肩に掛けて、上の畠の方から降りて来た。
夕飯時を報せる寺の鐘が谷間に響き渡った。達雄は、縁先から、自分の家に附いた果樹の多い傾斜を眺めて、一杯は客の為に酌み、一杯はよく働いてくれる大番頭の為に酌み、一杯は自分の健康の為に酌んだ。
「何卒して、まあ、若旦那にも好いお嫁さんを……」と嘉助は旦那から差された盃を前に置いて、「早く好いところから貰って上げて、一同安心いたしまするように……これが何よりも御家の堅めで御座いまするで」
「そのお嫁さんだテ」とお種も力を入れる。
「どうもこの町には無いナア」と達雄は眉を動かして、快濶らしく笑った。
その時、お種は指を折って、心当りの娘を数えてみた。