Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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いえ

家

島崎 藤村

Lesen Sie 家 (いえ) von 島崎 藤村 (しまざきとうそん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 126.748 Zeichen · 254 Bildschirme

Aozora Bunko

そんなことを言う手間で、褒めてくれよ」

豊世は何とも言ってみようが無かった。過度の心痛から、姑がこんな精神の調子に成るのでは有るまいか、と考えた時は哀しかった。

夕方まで、お種は庭に出て、浴客を相手に物を言い続けた。その晩は、親子とも碌に眠られなかった。この反動と疲労とが来て、姑が沈み考えるように成るまでは、豊世も安心しなかった。

何時まで豊世も姑と一緒にいられる場合では無かった。豊世は豊世で早く東京へ出て独立の出来ることを考えなければ成らないと思っていた。旧い静かな家に住み慣れたお種には、この親子別れ別れに成るということが心細くて、嫁を手離して遣りたくなかった。

「豊世――お前は私のことばかり心配なように言うが、自分のことも少許考えてみるが可い――そうまたお前のように周章てることは無いぞや」

とお種は嫁に向って言ってみた。

お種の考えでは、夫の行方に就いて、忰夫婦の言うことに何処か判然しないところがある。どうも隠しているらしく思われるところが有る。もし嫁が聞知っているものとすれば、何とか言い賺して、夫の行方を突留めたい。こう思った。お種は、もうすこしもうすこしと、伊東に嫁を引留めて置きたくてならなかった。