Japanische Klassiker mit Furigana
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いえ
家
島崎 藤村
Lesen Sie 家 (いえ) von 島崎 藤村 (しまざきとうそん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 126.748 Zeichen · 254 Bildschirme
何時までそんな女が旦那々々と立てて置くもんですかね……今度は自分が捨てられる番だ……そりゃあもう、眼に見えてる……」
「先ずそういうことに成って行きそうですナ」
「そこですよ、私が心配して遣るのは。旦那もネ、橋本の家で生れた人ですから、何卒して私は……あの家で死なして遣りたくてサ」
喧嘩でもしたか、子供が泣出した。お種は三吉の傍を離れて、子供の方へ行った。
幼い子供達は間もなくお種に取って、離れがたいほど可愛いものと成った。肩へ捉まらせるやら、萎びた乳房を弄らせるやら、そんな風にして付纏われるうちにも、何となくお種は女らしい満足を感じた。夫に捨てられた悲哀も、いくらか慰められて行った。
炉辺に近い食卓の前には、お房とお菊とが並んで坐った。伯母は二人に麦香煎を宛行った。お房は附木で甘そうに嘗めたが妹の方はどうかすると茶椀を傾げた。
「菊ちゃん、お出し」と言って、お種は妹娘の分だけ湯に溶かして、「どれ、着物がババく成ると不可いから、伯母さんが養って進げる」
子供にアーンと口を開かせる積りで、思わず伯母は自分の口を開いた。
「ああ、オイシかった」とお房は香煎の附いた口端を舐め廻した。