Japanische Klassiker mit Furigana
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いえ
家
島崎 藤村
Lesen Sie 家 (いえ) von 島崎 藤村 (しまざきとうそん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 126.748 Zeichen · 254 Bildschirme
彼女は、炉辺で、正太のことばかり案じていた。
「宗助――幸助――宗助――幸助」
と御輿を担いで通る人々の掛声を真似ながら、一人の小僧が庭口へ入って来た。この小僧は、祭の為に逆上せて了ったような眼付をして、隠居が汲んで置いた水を柄杓でガブガブ飲んだ。
三吉も帰って来た。お種は祝の強飯だの煮染だのを出して、それを炉辺で振舞っていると、そこへ正太が気息をはずませて入って来た。
「母親さん、何か飲む物を頂戴。咽喉が乾いて仕様が無い」と正太は若々しい眼付をして、「今ネ、御輿の飾りを取って了ったところだ。鳳凰も下した。これからが祭礼だ。ウンと一つ今年は暴れ廻ってくれるぞ」
「まあ、騒ぎですネ。正太、お前も強飯を食えや」とお種が言った。
「叔父さん、御覧でしたか」と正太は三吉の方を見て、「どうです、田舎の祭は。変ってましょう。殊に是処のは荒神様で通っていますから、あの大きな御輿を町中転がして歩くんです。終に、神社の立木へ持ってッて、輿を担ぐ棒までヘシ折って了う。その為に毎年白木で新調するんです――エライことをやりますよ。髭の生た人まで頬冠で揉みに出るんですからネ」
乾いた咽喉を霑した後、復た正太は出て行った。