Japanische Klassiker mit Furigana
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いえ
家
島崎 藤村
Lesen Sie 家 (いえ) von 島崎 藤村 (しまざきとうそん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 126.748 Zeichen · 254 Bildschirme
「どうして、それどこじゃない」と嘉助も引取って、「三吉様はこれで何度郷里へ帰らッせるなし」
「僕ですか、ずっと前に老祖母さんの死んだ時に一度、母親さんの葬式の時に一度――今度で三度目です」と三吉が言う。
「彼は八歳の時分に郷里を出たッきりよなし」とお種は嘉助の方を見て。
「これで、旧の家でも焼けずに在ると、帰る機会が多いんだがナア」と達雄も快濶らしく笑った。
前の晩のうちに頼んで置いた乗合馬車の馬丁が、その時、庭口へ声を掛けに来た。
「叔父さん、馬車が来ました」と正太が言って、叔父の手荷物を提げながら、一歩先へ出て行った。
「では、私はここで御免蒙りますから――」とお種は炉辺で弟に別離を告げた。
「皆さんに宜敷――実にも御無沙汰するがッて、宜敷言っておくれや――お前さんもまあ折角御無事で――」
挨拶もそこそこに、三吉はお仙やお春などにも別れて、橋本の家を出た。達雄はそこまで見送ると言って、三吉と一緒に石段を降りた。
崖下には乗合馬車が待っていた。車の中には二三の客もあった。この車はお六櫛を売る宿あたりまでしか乗せないので、遠く行こうとする旅人は其処で一つ山を越えて、更に他の車へ乗替えなければ成らなかった。