Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
いえ
家
島崎 藤村
Lesen Sie 家 (いえ) von 島崎 藤村 (しまざきとうそん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 126.748 Zeichen · 254 Bildschirme
あの時だって、村の為に自分の物まで持出してサ……父親さんは又、癇の起る度に家を飛出す。峠の爺を頼んで連れて来て貰うたッて、お金でしょう。何度にか山や林を売りました。所詮これではヤリキレないと言って、それから吾夫が郡役所などへ勤めるように成ったんです。事業に手を出し始めてからだっても、そうですよ。一度でも自分に得したことは無い……何時でも損ばかり……苦しいもんですから種々な人を使用う気に成る、そうしちゃあ他の分まで皆な自分で背負込んで了う……それを思うと、私は吾夫が気の毒にも成ってサ」
思わず嫂は弟達や稲垣の細君を前に置いて話し込んだ。
「そうだ――自分に得したことの無い人だ」と三吉も言ってみた。
その日は宗蔵も珍しく機嫌よく、身体の不自由を忘れて、嫂の物語に聞恍れていた。実が刑余の人であるにも関らず、こういう昔の話が出ると、弟達は兄に対して特別な尊敬の心を持った。
主人の実は屋外から帰って来た。続いて稲垣も入って来た。夫の声が格子戸のところで聞えたので、急に稲垣の細君は勝手の方へ隠れて、やがて娘のことを案じ顔に裏口からコソコソ出て行った。
「家内は御宅へ参りませんでしたか」