Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
ふじ
富士
岡本 かの子
Lesen Sie 富士 (ふじ) von 岡本 かの子 (おかもとかのこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 40.579 Zeichen · 82 Bildschirme
しかしかかる純粋と深刻さで執り行う祭を、修業としての心得を、翁は東国へ来て生い立った娘の神からして始めて聞いた。
翁は娘の神が口にしたこと人という言葉をしきりに気にした。遥々尋ねて来た生みの親に向ってこと人だという。何という薄情な娘なのだろう。しかしわけを聞いてみればその道理もないことはない。ふる郷を立つときから紅色に萌し始めた人情の胸の中の未練のほむらは子の慕わしさにかき立てられ旅の憂さに揺り拡げられ、こころ一面に燃え盛っている。福慈の神に出会い一目それをわが娘と知るや無我夢中になってしまって、矢庭に掻き抱こうとした旅塵の掌で、危うく白妙の斎の衣を穢そうとして、娘に止められて気が付いたほどである。これからしてみれば、一夜の間は心を静め澄さねばならない女神の斎の莚にかかる動きゆらめくものが傍におることは親とはいえ娘の神の為めにならないことは判り切った話だ。ならば娘の神のいう通り村里へ下って娘の神のいい付けて呉れた誰かの家へ行って泊ってもやり度い。だが翁にはそれはできなかった。
娘の神が自分をこと人といったのは今夜の神聖に対し一夜だけのことにしていったのであろうか、それとも幼くして遥な国へ思い捨てた父に対しての無情の恨みの根を今も深く持ち添えそれでいったのであろうか、それが気になった。