Japanische Klassiker mit Furigana
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かんえいぶどうかがみ
寛永武道鑑
直木 三十五
Lesen Sie 寛永武道鑑 (かんえいぶどうかがみ) von 直木 三十五 (なおきさんじゅうご) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 12.633 Zeichen · 26 Bildschirme
槍だ、槍で無いと――)
殿の名誉の為、妻の志の為、自分の武道の為――
(槍をとらぬと――)
と、半兵衛は、可哀そうだとおもったが
「馬鹿っ」
と、叫んで、一刀、斬下ろしておいて、すぐ槍持と戦っている士へ
「除かぬかっ」
と、叫びつつ、血刀を振上げた。その士が、半兵衛の方へ刀をつけ、槍持が
「旦那様」
と、叫んで、槍の柄を延した時、
「半兵衛」
声と共に、大きな足音がした。
(荒木だ)
と、思うと、半兵衛は、槍の方へ、手を延した。だが、又、槍は、ほんの手先の所へ来たままで、遠去かって、槍持の手の中で、必死に振廻されていた。
「荒木だ」
少し、蒼白めた顔をして、上背のある荒木が、長い、厚い刀を構えていた。半兵衛より、ずっと高くて、がっしりしていた。羽織もなく、鎖鉢巻をして、十分に、軽い身なりであった。そして、その脣に、微かな余裕の笑をみせ、その呼吸は落ちつき、その構えは十分に、その足は正確に――、半兵衛は
(天晴れだ)
と、感じると共に、槍をもって立合えないのが、腸の底から、悲憤して、滲み上ってきた。
(何故、この期に、槍がとれない? 負けても――勝を譲ってもいいから、槍で、十分の、心ゆくまでの勝負がしたい。