Japanische Klassiker mit Furigana
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てらだせんせいのついおく
寺田先生の追憶
中谷 宇吉郎
Lesen Sie 寺田先生の追憶 (てらだせんせいのついおく) von 中谷 宇吉郎 (なかやうきちろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 13.152 Zeichen · 26 Bildschirme
大分後になって、同じような仮説を出した学者が阿米利加にも前にあったことが分ったが、そんなことは別に問題にする必要はない。
HM君の第一の仕事は、針金に急激な温度傾斜を与えてそれで出来る電流即ちベネディックス効果を、色々な条件の下で測って見るというのであった。手製のアスベストスの棒に針金を捲きつけて、それを不細工な歯車か何かにとりつけた妙な装置が出来上った。それに瓦斯の炎をぶうぶうと吹きつけながら、HM君は歯車を片手でがらがら廻しては、検流計の望遠鏡を覗いていた。
誰かが遊びに来ると、よくあれは火事の実験かいときいた。そして今にあれで地球磁気の原因が分るはずなんだと言うと、中には「正に団栗のスタビリティを論じて天体の運動に及ぶ類いだね」という男もあった。
この研究はその後、理研でT君があとを引き受けてずっと続けることになった。結局地球磁気の原因は分らなかったが、或る種の金属結晶体に縦に熱を流すと、それと直角の方向即ち横向きに電流が発生するという新しい現象の発見に導かれたのであった。この発見は先生の数多い業蹟の中でも特筆すべきものの一つであったが、HM君がぶうぶうと炎を吹きつけていた頃のことを思うと、傍観者たる私たちにも感慨の深いものがあった。