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Japanische Klassiker mit Furigana

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てらだとらひこのついそう

寺田寅彦の追想

中谷 宇吉郎

Lesen Sie 寺田寅彦の追想 (てらだとらひこのついそう) von 中谷 宇吉郎 (なかやうきちろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 19.683 Zeichen · 40 Bildschirme

Aozora Bunko

られたのであった。

大河内先生が、大学に先生を訪ねて、理研の所員にならぬかと相談をされたのは、大正十三年の四月十八日のことである。先生はすぐ承諾されたものとみえて、五月にはもう正式に理研の主任研究員となっておられる。大学の方へ正式に辞表を出されたのは大正十五年の暮であるから、二年半も前から決心をしておられたわけである。

先生が野上さんを訪ねられたときの不愉快な事情というのは、野上さんも立入っては聞かれなかったそうである。しかしそれは法政の予科で数学の教師になろうとまで思いつめられたもので「生命にはかえられな」かったものであったにちがいない。先生が大学を止められて大分してからのことであるが、秋晴れの或る日一緒に理研から大学まで行ったことがある。大学の正門をくぐる時に、先生は「いいお天気だね、僕はこんな晴れ晴れとした気持で、この門をくぐることは考えていなかったよ。今までは、いつでもこの正門をくぐるたびに、いやあな気持になったもんだが」と言われた。いかにも実感のこもった声音であった。

大学をやめて理研と震研と航研との三つの研究所に拠って、先生が恐らく理想とされた研究の生活が始まった。