Japanische Klassiker mit Furigana
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えいがじだい
寺田寅彦随筆集 第二巻
寺田 寅彦
Lesen Sie 寺田寅彦随筆集 第二巻 (えいがじだい) von 寺田 寅彦 (てらだとらひこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 207.099 Zeichen · 419 Bildschirme
私はそういう音楽家の潔癖を尊重するものではあるが、それと同時に一般の音楽愛好者が蓄音機を享楽する事をとがめてはならないと思うものである。
蓄音機でいい音楽を聞くのと、三色版で名画を見るのとはちょっと考えると似ているようで実は少し違ったところがあると思う。私の考えでは、三色版が色彩に対しても不忠実であるのみならず、画面の微妙な光沢や組織に対し全然再現能力のないのに反して、良い蓄音機では音色や強弱の機微な差別が相応に現われ、そして最も重要な要素と考えられる時間関係がかなり厳密に再現される。そういう点で蓄音機のほうがある意味で三色版より進んでいるとも言われる。ただ困る事には今の蓄音機に避くべからざる雑音の混入が、あたかも三色版の面にきたないしみの散点したと同様であるようにも思われる。しかし人間の耳には不思議な特長があって、目の場合には望まれない選択作用が行なわれる。すなわち雑多な音の中から自分の欲する音だけを抽出して聞き分ける能力を耳はもっている。音楽家が演奏をしている時に風や雨の音、時には自分の打っているキーの不完全な槓杆のきしる音ですらも、心がそれに向いていなければ耳には響いても頭には通じない。