Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

ja-reading.com

Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.

ちいさきなにも

小さき花にも

豊島 与志雄

Lesen Sie 小さき花にも (ちいさきなにも) von 豊島 与志雄 (とよしまよしお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 10.115 Zeichen · 21 Bildschirme

Aozora Bunko

雀のことなんか、お父さんにはどうでもいいんだ。ただ人間のこととなると、すぐに泣きだしてしまうのだ。私もふいに、涙ぐましくなった。

「大丈夫よ、お父さん。働くのは嬉しいことだわ。……あ、お母さんはお洗濯かしら。」

私は立ち上って、茶の間の方へ逃げて行った。もし涙を見せようものなら、お父さんは声をあげて泣きだすにきまっているのだ。

私は茶の間で、ちょっとお茶をのんだが、食事はやめた。食べたくなかった。お母さんの方へは行かずに、表へ出た。散歩するというわけでもなく、行くところもないので、裏の空地へ行ってみた。あのいやな醜い桜の木がある。通りすぎて、お寺のなかにはいっていった。銀杏樹がすくすくと茂りそびえている。その幹によりかかって、私は泣いた。

悲しいのではない。悲しいといえば、誰も彼もみな悲しい。お父さんも、お母さんも、姉さんも、手塚さんも、作家先生も、みな悲しい。だが、私だけは、ちっと違う。いとおしいほど自分が大切なのだ。大事な大事なものが、自分の肉体にあるのだ。処女……。私はそれを護り通そう。その名において、すべてのものに抗議をしよう。一寸の虫にも……と言われているが、大事なのは五分の魂じゃない。