Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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つきとあざらし

小川未明童話集

小川 未明

Lesen Sie 小川未明童話集 (つきとあざらし) von 小川 未明 (おがわみめい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N3. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N3 · Mittel · moderne Kanji und Kana · 9.033 Zeichen · 20 Bildschirme

Aozora Bunko

金の輪

一

一

太郎は長いあいだ、病気でふしていましたが、ようやく床からはなれて出られるようになりました。けれどまだ三月の末で、朝と晩には寒いことがありました。

だから、日のあたっているときには、外へ出てもさしつかえなかったけれど、晩がたになると早く家へはいるように、おかあさんからいいきかされていました。

まだ、さくらの花も、ももの花も咲くには早うございましたけれど、うめだけが、かきねのきわに咲いていました。そして、雪もたいてい消えてしまって、ただ大きな寺のうらや、畑のすみのところなどに、いくぶんか消えずにのこっているくらいのものでありました。

太郎は、外に出ましたけれど、往来にはちょうど、だれも友だちが遊んでいませんでした。みんな天気がよいので、遠くの方まで遊びに行ったものとみえます。もし、この近所であったら、自分も行ってみようと思って、耳をすましてみましたけれど、それらしい声などはきこえなかったのであります。

ひとりしょんぼりとして、太郎は家のまえに立っていましたが、畑には去年とりのこした野菜などが、新しくみどり色の芽をふきましたので、それを見ながら細い道を歩いていました。