Japanische Klassiker mit Furigana
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こゆびいっぽんのおおじあい
小指一本の大試合
山中 峯太郎
Lesen Sie 小指一本の大試合 (こゆびいっぽんのおおじあい) von 山中 峯太郎 (やまなかみねたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N3. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N3 · Mittel · moderne Kanji und Kana · 5.932 Zeichen · 13 Bildschirme
ふいに、
「こい!」と、小指をヒクヒクふると、
「…………」ブルが顔をしかめて、ビクッとする。
「ワアーッ」と、見物人はますます声をあげる。
「こい!」
「…………」ブル、まっさおだ。汗をながしてる。
「ワアーッ」バチバチバチバチ。「ワアーッ」
「こい!」ヒクヒク。
「…………」ブル、まったく汗だらけだ。
「あと二十秒!」フランクがいう。
「…………」ブル、また赤くなってきた。
「こい!」ヒクヒクヒク。
「…………」ブル、目がすわってきた。
「あと十秒! ……五秒! ……」
フランクのことばとともに、そのとき、サッとブルが小指へとびかかってきた、眼にもとまらぬ電光石火、ハッと身をしずめたぼく、頭の上にブルの腕と胸がのびてるやつを、そのままの背負いなげ! 敵の力で敵をなげる柔道の、これこそ術だ、みごとにきまって、
「エエイッ!」
ブルのでかいからだがかるくて紙一枚のようだ、とびかかってきた自分の力でさかおとしに、ドスーンとむこうへ宙返りを打った、と、ぼくはヒラリと左の小指を上げた。
見物人が総立ちになった、さあたいへんだ! ツンボになるような「ワアーッ、ワワワワワ――」という声が、ぼくの小指一本にあつまってる。