Japanische Klassiker mit Furigana
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しょうけい
小景
宮本 百合子
Lesen Sie 小景 (しょうけい) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 7.323 Zeichen · 15 Bildschirme
余り奇麗な布地でもあると、私は呉服屋の前に立った。
異国風な豊麗さで細々化粧品や装身具などを飾った窓に来かかると、私は、堪能するまで其等の一つ一つを眺める。
本屋の前に出ると、私の眼には、微に意志の光めいたものが浮んだ。表の新着書籍を見わたし終ると、私は、内へ入って行った。丁度、燕が去年巣をかけた家の軒先を、又今年もついとくぐるような親しさで。
台から台へと廻って歩き、懐が許せば一箇の茶色紙包が、私の腕の下に抱え込まれるだろう。けれども、その楽しい収穫がいつもあるとは定っていない。三度に二度は、空手で出る。欲しい本がなかったか、私の小さい紫皮の財布に、電車の切符しか入っていなかったかの理由で。――
然し心配はいらない。私は、一冊本が買えても買えなくても、多くの場合、同じように愉快であった。彼処に、あの煉瓦の建物の中に、彼那にぎっしり、いろいろの絵と文字で埋まった書籍がつまっているのだ。それを知っている丈でも、豊かなよい心持でないか。
幸福な、而も田舎の子供のようにしかつめらしい顔をした私は、次に工事を終ったばかりの京橋を渡り、第一相互館の宏壮な建物の下に出る。