Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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ろうじゅうのめがね

小笠原壱岐守

佐々木 味津三

Lesen Sie 小笠原壱岐守 (ろうじゅうのめがね) von 佐々木 味津三 (ささきみつぞう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 57.249 Zeichen · 115 Bildschirme

Aozora Bunko

――いや、それゆえにこそ、自分等ごとき取るに足らぬものの恋なぞは、心にも止めていられないのだ。

カチカチと、オランダ渡りの置土圭が、静かな時の刻みをつづけていった。――勿論殿から拝領の品だった。追放の身にはなっても、せめてこればかりは御形見にと思って持って来たのである。

恨んではならぬ!

お護り申さねばならぬ!

「登代どの!」

ほっと蘇ったように面をあげると、道弥は不意にきいた。

「あすは十五日で厶ったな」

「あい。月次お登城の日で厶ります」

きくや矢庭に立ち上ると、敢然として言った。

「行って参る! 並々ならぬ身体じゃ。大切に致されよ」

「ま! 不意にどこへお越し遊ばすので厶ります。このような夜中、何しに参るので厶ります」

「せめてもお詫びのしるしに――、いや、道弥がせねばならぬことを致しに参るのじゃ。健固でお暮し召されよ……」

「ま! お待ちなされませ! お待ちなされませ!」

しかし道弥の姿は、もう表の闇に消えていった。――同時のように、ジイジイと置土圭が四時を告げた。

大書院の置土圭もまたその時四時だった。

だが対馬守は、あれから今まで死像のようにじっと端座したままだった。