Japanische Klassiker mit Furigana
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ろうじゅうのめがね
小笠原壱岐守
佐々木 味津三
Lesen Sie 小笠原壱岐守 (ろうじゅうのめがね) von 佐々木 味津三 (ささきみつぞう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 57.249 Zeichen · 115 Bildschirme
「…………」
「気味のわるい奴よ喃。なぜ言わぬぞ。そう言えば来た時の容子も腑に落ちかぬるところがあったようじゃ。林田達みなの者と一緒にそちのところへも火急出仕の使いが参った筈なのに、その方ひとりだけ、このように遅参したのも不審の種じゃ。のう! 何ぞ仔細があろう。かくさずに言うてみい!」
「いえ、あの、殿!」
ついと横からそれを千之介ならで林田門七が奪い乍らさえ切ると、すべてのその秘密を知りつくしているがためにか、君前を執り成そうとするかのように言った。
「この男のことならばおすておき下さりませ。千之介の泣き虫はこの頃の癖で厶ります。それよりもうお灯りをおつけ遊ばしたらいかがで厶ります?」
「なに? 灯り? そう喃。――いや、まてまて。暗ければこそ心気も冴えて、老人共の長評定も我慢出来ると申すものじゃ。すておけ、すておけ。それより千之介の事がやはり気にかかる。のう! 波野! どうしたぞ? 早う言うてみい!」
「いえ、あの、殿――」
再び門七が慌てて遮切ると、千之介を庇うように言った。
「何でも厶りませぬ。仔細は厶りませぬ。気鬱症にでもとり憑かれましたか、月を見ると――、そうで厶ります。