Japanische Klassiker mit Furigana
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ろうじゅうのめがね
小笠原壱岐守
佐々木 味津三
Lesen Sie 小笠原壱岐守 (ろうじゅうのめがね) von 佐々木 味津三 (ささきみつぞう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 57.249 Zeichen · 115 Bildschirme
馬鹿な奴めが、月を見るといつもこの通りめそめそするのがこの男のこの頃の病で厶りますゆえ御見のがし下さりませ。それよりあの――」
「アハハハ……」
突然というよりもむしろ不気味な変り方だった。ふいと笑い声をあげ乍ら、そうしてふいと切ってすてでもしたように笑いをやめると、遠い空を見つめ乍ら何ごとかまさぐり思案していた長国が呟くように言った。
「月か……。月にかこつけて了うたか。いやよいよい。乱世じゃ。乱世ともならば月を見て泣く若侍もひとりやふたり出て参ろうわ。アハハハ……。そう言えば月の奴めもいちだんと気味わるう光り出して参った。――のう! そち達!」
不意だった。むくりと脇息から身を起すと、襟を正すようにして突然言った。
「怪談をするか! のう! 気を張りつめていたいのじゃ。今から怪談を始めようぞ」
「……?」
「……!」
「ハハハ……。いずれも首をひねっておるな。長国、急に気が立って参ったのじゃ。いまだに何の使者も大広間から来ぬところを見ると、相変らず老人達が小田原評定の最中と見ゆる。気の永い奴等めがっ。じれじれするわ。のう! どうじゃ。一つ二つぞっとするような怪談聞こうぞ」