Japanische Klassiker mit Furigana
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ろうじゅうのめがね
小笠原壱岐守
佐々木 味津三
Lesen Sie 小笠原壱岐守 (ろうじゅうのめがね) von 佐々木 味津三 (ささきみつぞう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 57.249 Zeichen · 115 Bildschirme
山県有朋の靴
一
「平七。――これよ、平七平七」
「…………」
「耳が遠いな。平七はどこじゃ。平はおらんか!」
「へえへえ。平はこっちにおりますんで、只今、お靴を磨いておりますんで」
「庭へ廻れ」
「へえへえ。近ごろまた東京に、めっきり美人がふえましたそうで、弱ったことになりましたな」
「またそういうことを言う。貴様、少うし腰も低くなって、気位もだんだんと折れて来たと思ったらじきに今のような荊を出すな。いくら荊を出したとて、もう貴様等ごとき痩せ旗本の天下は廻って来んぞ」
「左様でございましょうか……」
「左様でございましょうかとは何じゃ。そういう言い方をするから、貴様、いつも叱られてばかりいるのじゃ。おまえ、郵便報知というを知っておろうな」
「新聞社でございますか」
「そうじゃ。あいつ、近ごろまた怪しからん。貴様、今から行ってネジ込んで参れ」
「なにをネジ込むんでございますか」
「わしのことを、このごろまた狂介々々と呼びずてにして、不埒な新聞じゃ。山県有朋という立派な名前があるのに、なにもわざわざ昔の名前をほじくり出して、なんのかのと、冷やかしがましいことを書き立てんでもよいだろう。