Japanische Klassiker mit Furigana
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しょうせつ えんちょう
小説 圓朝
正岡 容
Lesen Sie 小説 圓朝 (しょうせつ えんちょう) von 正岡 容 (まさおかいるる) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 163.270 Zeichen · 325 Bildschirme
圓朝はそう考えた。
……いや阿母ばかりじゃない、三遊派全体が地獄の底の底へと沈んでいってしまうことになる。そうもまた考えた。
……でもいくら何をどうしようとて、師匠がいくら骨を折ってくれても真打にしてくれ手もないこの私。三遊派という腐っても鯛の大きな大きな屋体骨を背負って立つには、あまりにも自分というものが非力過ぎた、貧弱過ぎた。これじゃ天下を覆さないうちにこの私自身が覆ってしまうだろう。
どうしたら、ああどうしたらいいだろう――とつおいつ悶ゆる目先に、いつか二つ目になったとき師匠に連れられてお詣りにいったことのある苔むした初代三遊亭圓生の墓石がまざまざといま見えてきた。
「ウム」
何をか圓朝は強く心に肯いた。
その月から圓朝は毎月初代圓生のお墓参りにゆきはじめた。雨が降っても槍が降っても、いいや槍どころじゃない、類いまれなるあの大地震のあったその月、焼野原の灰掻き分けて迄も圓朝は、はるばるお墓参りにでかけた。
二
かくて一年目。
梅雨曇りの午後の空を寂しく映している水溜りをヒョイヒョイヒョイヒョイ除けるようにしてきょうも圓朝は、それが目印の、燃えるように柘榴の花の咲いている下の墓石のところまでたどり着いた。