Japanische Klassiker mit Furigana
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しょうせつ えんちょう
小説 圓朝
正岡 容
Lesen Sie 小説 圓朝 (しょうせつ えんちょう) von 正岡 容 (まさおかいるる) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 163.270 Zeichen · 325 Bildschirme
「観自在菩薩、深般若波羅蜜多……」
ここぞとお経文に頼ろうとした。
……が甲斐なかった、二本の大蝋燭はたちまち高座のそれにそっくり見え、もったいないが鎮座まします阿弥陀さまは、親父の圓太郎が師匠の二代目三遊亭圓生の身振りうれしき芝居噺の画面の姿を髣髴と目に躍らした。親玉ァとさえ、また叫びたかった。
「なんまいだぶなんまいだぶなんまいだぶなんまいだぶなんまいだぶ」
あまりのことに自分が情なくなってきて次郎吉は、急にカラリと明るい調子でお念仏を唱えだした。あとからあとから尽くるところなく唱えだしたのだった。
「……」
たまたま廊下を、義兄玄正が通り合わせた。
覚えろといった般若心経ではないけれど、心を空の念仏三昧。ではやっと落語家たることをあきらめてくれたか。
秋の霜のような烈しい顔をそっと綻ばして喜ばしさに通りもやれず玄正は、そのまま廊下に立ち停まって耳傾けていた。
「なんまいだなんまいだなんまいだなんまいだなんまいだなんまいだなんまいだなんまいだなんまいだなんまいだ」
明るいお念仏の声は、いつ迄もいつ迄もつづいた。果てしなくつづいていった。
とおもううち、