Japanische Klassiker mit Furigana
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しょうせつ えんちょう
小説 圓朝
正岡 容
Lesen Sie 小説 圓朝 (しょうせつ えんちょう) von 正岡 容 (まさおかいるる) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 163.270 Zeichen · 325 Bildschirme
あの晩、空っ風に吹かれたまま、いつまでもいつまでも去りやらず睨んでいた招き行燈の中へ、今こそ「三遊亭圓朝」の五文字を筆に書き入れさせるときがきた、そうしてあかあかとその字を灯の中へ浮きださせてやるときが――。
「ねえ不思議じゃないか、ひとつひとつ引道具のようにいやなことが消えてなくなっていく。そしちゃ、一段一段とそのたんび私の看板がせり出しのように上がっていく。いよいよたくさん勉強しなけりゃいけないのはもちろんだけれど、それにしてもいいのかなあこれで、ほんとうにいいのかなあ私ァこれで」
うれしそうに辺りをぐるぐる見廻しながらまたコップを。そのあと華奢な象牙の箸でギヤマンの大鉢の中の銀のような鱸の洗いのひと切れを、さも美味しそうに口へ運んだ。
「……」
やっぱり小糸は肯いた、月の出のように顔全体をかがやかすことによってのみ、ひたすら、心の喜びのたけをあらわして。
「で、ねえ……」
しばらくほれぼれと圓朝は寂しい美しい目の前の顔を見守っていたが、
「やる、とにかく、やる、手一杯ひろげられるだけこの手を大きくひろげて、もっと派手に、もっと華やかに私は売ってみせる。