Japanische Klassiker mit Furigana
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しょうじょじごく
少女地獄
夢野 久作
Lesen Sie 少女地獄 (しょうじょじごく) von 夢野 久作 (ゆめのきゅうさく) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 105.174 Zeichen · 206 Bildschirme
校長先生は眼の玉を白くして、舌をダラリと垂らしたまま、大地震に会った仏像のように、仰向け様にドターンと引っくり返ってお終いになりました。それをほかのお二人は見向きもなさらないまま、私の顔を睨み詰めて棒立ちになっておられるようでしたが、私はそのまま綱を手繰ってモトの屋根の絶頂に帰りました。四つん匐いになったまま、ほおっ……と一つ溜息をして気を落ち着けました。
私はもうその時に、立ち上れるかどうかわからないくらい、疲れている事に気が付きましたが、しかし、いつまでも休んでおる事は出来ませんでした。逃げた芸妓さん達が、着物を着てからホテルの人に知らせたものと見えまして、下の方で誰だかガヤガヤと騒ぎまわる声がしました。それに連れて古ぼけた非常提灯の光が二つ三つ、眼の下はるかのお庭の中に走り出て来たようでしたが、私はちっとも慌てませんでした。
大切な写真機を入れた手提袋をシッカリと口に啣えますと、避雷針に結び付けた綱を放ったらかしたまま、屋根の絶頂に立ち上って登って来た時と反対側の突端に来ました。そこで雲の間から洩れ出した美しい星影を仰ぎました時に、私は何故かしら胸が一パイになって、眼の中に涙が溜まって困りました。