Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

ja-reading.com

Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.

しょうしょうしげもとのはは

少将滋幹の母

谷崎 潤一郎

Lesen Sie 少将滋幹の母 (しょうしょうしげもとのはは) von 谷崎 潤一郎 (たにざきじゅんいちろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 83.234 Zeichen · 160 Bildschirme

Aozora Bunko

「あんな風にしていらっしゃったら、しまいにはほんとうに気狂いにおなり遊ばすか、体をお損じ遊ばすか、………」

と、乳人は蔭で云い暮らしていたが、そう云う父が、それほど溺愛していた酒を、或る時からふっつり止めてしまったのであった。

滋幹は、父がどう云う動機から酒を断つに至ったのか、その間の事情を詳かにしないのであるが、彼がそれに気が付いたのは、

「お父さまは近頃殊勝におなりなされて、一日しずかにお経を読んでいらっしゃいます」

と、乳人が彼に語ったことがあるからであった。思うに父は、母恋しさに堪えかねて、酒の力で紛らそうとしたのであったが、酒では到底紛らしきれないことを感じて、佛の慈悲に縋ろうとしたのであろうか。つまり、「頭陀の法を学ばざれば、前よりの心安んぞ忘るべけん」と云う白詩の示唆に従った訳なので、それは父の死ぬ一年ほど前、滋幹が七つぐらいの時のことであった。その時分になると、父はもう狂暴性がないようになり、終日佛間にいて、冥想に耽るとか、看経するとか、何処かの貴い大徳を招いて佛法の講義を聴聞するとか、云うような日が多くなったので、乳人や女房たちは愁眉を開いて、どうやら殿も落ちついておいでになった、あの御様子なら安心ですと云って喜んでいたのであったが、しかし滋幹には、そうなってからでも矢張何となく近づきにくい、