Japanische Klassiker mit Furigana
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しょうしょうしげもとのはは
少将滋幹の母
谷崎 潤一郎
Lesen Sie 少将滋幹の母 (しょうしょうしげもとのはは) von 谷崎 潤一郎 (たにざきじゅんいちろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 83.234 Zeichen · 160 Bildschirme
と、やはり非常に濃い丁子の匂がした。平中は又、棒ぎれに突き刺したものをちょっぴり舌に載せて見ると、苦い甘い味がした。で、よく/\舌で味わいながら考えると、尿のように見えた液体は、丁子を煮出した汁であるらしく、糞のように見えた固形物は、野老や合薫物を甘葛の汁で煉り固めて、大きな筆のに入れて押し出したものらしいのであったが、しかしそうと分ってみても、いみじくも此方の心を見抜いてお虎子にこれだけの趣向を凝らし、男を悩殺するようなことを工むとは、何と云う機智に長けた女か、矢張彼女は尋常の人ではあり得ない、と云う風に思えて、いよ/\諦めがつきにくゝ、恋しさはまさるのみであった。
人間の運は、一遍悪い方へ曲り始めると何処まで曲るか分らないもので、さすがの平中も、侍従の君のお虎子の匂を嗅いでからと云うものは、何処へ行っても色事が成功せず、悉く失敗つゞきであった。まして侍従の君はます/\驕慢に、残酷になり、彼が熱を上げれば上げるほど冷かな仕打をし、もう少しと云う所へ来ては突っ放すので、可哀そうな平中は、とう/\それが原因で病気になり、悩み死にゝ死んでしまった。―――「いかで此の人に逢はで止みなんと思ひ迷ひける程に、平中病み付きにけり、さて悩みける程に死にゝけり」