Japanische Klassiker mit Furigana
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しょうねんたんていちょう
少年探偵長
海野 十三
Lesen Sie 少年探偵長 (しょうねんたんていちょう) von 海野 十三 (うんのじゅうざ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 110.286 Zeichen · 221 Bildschirme
それをいっておしまい」
「この人、知りません。今はじめて会うた人です」
牛丸は、そう答えた。彼は生駒の滝の前に倒れていたのがこの老人かもしれないと思った。しかしあのときは、顔をよく見たわけでない。ヘリコプターから機銃掃射が始まったので、すぐ柿の木へかけあがったわけである。
「お前はどこまで剛情なんだろう。そんなに拷問されたいのか。それでは」
「待って下さい。ほんとにぼくは、この人を知りませへん。うそやありません。この人に聞いてもろうてもよろしい」
牛丸少年は重ねて同じ主張をした。
戸倉老人は、さっきから下を向いたままで、目を開かない。牛丸少年の顔を見ようともしないのであった。
老人の心の中には、今はげしい苦悶があった。それは今彼のそばにいる少年が、春木清にちがいないと誤解していたからだ。死にゆく自分を介抱してくれた親切に、あの黄金メダルを少年に贈ったが、それが祟って、少年はこうして四馬剣尺のために自由を奪われ、ひどい責めにあっていると思えば、老人の胸は苦しさに張りさけんばかりであった。老人は、この気の毒な少年の顔を一目でも見る勇気がなかった。少年に何とあやまってよいか、老人の立ち場はひどく苦しいのであった。