Japanische Klassiker mit Furigana
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しょうねん
少年
Lesen Sie 少年 (しょうねん) von Akutagawa Ryūnosuke (芥川 竜之介) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 15.225 Zeichen · 31 Bildschirme
と云うものもある。「仰向けにおなりよ」と云うものもある。「おいらのせいじゃなあい」と云うものもある。が、保吉は痛みよりも名状の出来ぬ悲しさのために、二の腕に顔を隠したなり、いよいよ懸命に泣きつづけた。すると突然耳もとに嘲笑の声を挙げたのは陸軍大将の川島である。
「やあい、お母さんて泣いていやがる!」
川島の言葉はたちまちのうちに敵味方の言葉を笑い声に変じた。殊に大声に笑い出したのは地雷火になり損った小栗である。
「可笑しいな。お母さんて泣いていやがる!」
けれども保吉は泣いたにもせよ、「お母さん」などと云った覚えはない。それを云ったように誣いるのはいつもの川島の意地悪である。――こう思った彼は悲しさにも増した口惜しさに一ぱいになったまま、さらにまた震え泣きに泣きはじめた。しかしもう意気地のない彼には誰一人好意を示すものはいない。のみならず彼等は口々に川島の言葉を真似しながら、ちりぢりにどこかへ駈け出して行った。
「やあい、お母さんって泣いていやがる!」
保吉は次第に遠ざかる彼等の声を憎み憎み、いつかまた彼の足もとへ下りた無数の鳩にも目をやらずに、永い間啜り泣きをやめなかった。