Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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おくじょうのきょうじん

屋上の狂人

菊池 寛

Lesen Sie 屋上の狂人 (おくじょうのきょうじん) von 菊池 寛 (きくちかん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 7.649 Zeichen · 16 Bildschirme

Aozora Bunko

その猿が憑いとるんや。

吉治 そうやろうな。それでなけりゃ、あなに木登りのおたっしゃなわけはないからな。足場があろうがあるまいが、どなな所へでも上るんやけにな。梯子乗りの上手な作でも、若旦那にはかなわんいいよりますわい。

義助 (苦笑して)阿呆なことをいうない。屋根へばかり上っとる息子を持った親になってみい。およしでも俺でも始終あいつのことを苦にしとんや。(再び声を張り上げて)義太郎! 早う降りて来んかい。義太郎! 降りんかい。……屋根へ上っとると人の声はきこえんのや、まるで夢中になっとるんや。あいつが上って困るんで、家の木はみんな伐ってしまったけんど、屋根ばかりはどうすることもできんわい。

吉治 私の小さい頃には、御門の前に高い公孫樹がござんしたなあ。

義助 うむ、あの木かい。あれは島中の目印になった木やがな。いつであったか、あの木のてっぺんへ義太郎が上ってな、十四、五間もある上でぱかんと枝の上に腰かけているやないか。俺もおよしもあいつの命はないもんやと思ってあきらめていると、またするする降りて来てな、皆あきれてものがいえなかったんや。

吉治 ヘへえ。まるで人間業でござんせんな。