Japanische Klassiker mit Furigana
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びょうぶはたたまれた
屏風はたたまれた
山本 周五郎
Lesen Sie 屏風はたたまれた (びょうぶはたたまれた) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 11.953 Zeichen · 24 Bildschirme
彼の声の調子で拒みかねたのだろう、伊与二郎は「はいれ」と云い、夜具の上に起き直って、彼の話すことを聞いた。そして、聞き終ってから暫く、彼の顔を冷やかに見まもっていたが、やがてひそめた声で、ゆっくりと云った。
「つい十日ほどまえに、将軍家で第七女の御出産があった、御生母はなにがしの局とか聞いたが、その局は疑わしくはないか」
弥十郎は父の顔をみつめた。
「たくさんだ」と伊与二郎は静かに首を振った、「おまえは一年ちかくもその女のことにとらわれている、それがそんなに大事なことか」そしてきめつけるように云った、「おまえにはそのほかに大事なことはないのか」
弥十郎は眼をつむった。
彼はその(つむった)眼の裏で、一双の屏風がたたまれるのを見るように思った。するとにわかに胸が軽く、呼吸がらくになるように感じた。弥十郎はそんな時刻に騒がせた詫びを云い、挨拶をして廊下へ出ると、佗しげに微笑しながら呟いた。
「そうだ、屏風はたたまれたのだ」そして父の口まねをした、「忘れてしまえ」