Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
やまのてのこ
山の手の子
水上 滝太郎
Lesen Sie 山の手の子 (やまのてのこ) von 水上 滝太郎 (みなかみたきたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 15.551 Zeichen · 31 Bildschirme
氷を踏むような自分の足音が冷え初めた夜の町に冴え渡るのを心細く聞くにつけ野衾が今にも出やしないかとビクビクしながら、一人で夜歩きをしたことをつくづく悔いたのであった。覆いかかった葉柳に蒼澄んだ瓦斯燈がうすぼんやりと照しているわが家の黒門は、固くしまって扉に打った鉄鋲が魔物のように睨んでいた。私は重い潜戸をどうしてはいることが出来たのだったろう。明るい玄関の格子戸から家の内へ馳け込むと中の間から飛んで出て来た乳母はしっかりと私を抱き締めた。
「新様あなたはマアどこに今ごろまで遊んでいらっしゃったのです」
あれほど言っておくのになぜ町へ出るのかと幾度か繰り返して言い聞かせた後、
「もう二度と町っ子なんかとお遊びになるんじゃありません乳母がお母様に叱られます」
と私の涙を誘うように掻き口説くので、いつも私が言うことをきかないと「もう乳母は里へ帰ってしまいます」と言うのが真実になりはしないかと思われて知らず知らずホロリとして来たが、
「新次や新次や」
と奥で呼んでいらっしゃるお母様のお声の方に私は馳け出して行った。
お屋敷の子と生まれた悲哀はしみじみと刻まれた。