Japanische Klassiker mit Furigana
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やまのあき
山の秋
高村 光太郎
Lesen Sie 山の秋 (やまのあき) von 高村 光太郎 (たかむらこうたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 7.435 Zeichen · 15 Bildschirme
毎日栗飯を炊いたり、うで栗にしたり、いろりで焼栗にしたりする。ぬれ紙につつんで灰の中で焼く焼栗を電灯の下でぼつぼつ食べていると、むかし巴里の街角で、「マロンショウ、マロンショウ」と呼売していた焼栗の味をおもい出す。あの三角の紙包をポケットに入れて、あついのを歩きながら食べたことを夢のように思い出す。あれはフランス、ここは岩手、なんだか愉快になったものだ。
部落の子供や小母さんらがよくかごを持って栗ひろいにくる。裏の山の南側のがけに取りきれないほど落ちているが、自然にどこの木が一番うまいというようなことがあるようである。栗拾いには随分山の奥の方まで出かけるが、そういう時に時々熊のいる形跡に出あって逃げてかえってきた人がある。熊も栗やドングリが好きで、この季節にさかんに出没する。熊は木のまたに棚というものをこしらえて、そこに坐って食べるらしい。
秋風は急に吹いてきて、一朝にして季節の感じを変えてしまう。ばさりとススキをゆする風が西山から来ると、もう昨日のような日中の暑さは拭い去られ、すっかりさわやかな日和となって、清涼限りなく、まったく宝玉のような東北の秋の日が毎日つづく。