Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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やまへかえりゆくちち

山へ帰りゆく父

小川 未明

Lesen Sie 山へ帰りゆく父 (やまへかえりゆくちち) von 小川 未明 (おがわみめい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N3. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N3 · Mittel · moderne Kanji und Kana · 7.875 Zeichen · 16 Bildschirme

Aozora Bunko

今夜も、また、わたしは、その珠のことを思い出して探しにきたのです。」と、その若い女は、答えたのであります。

彼は、この話をきくと、なんとなく体じゅうが、ぞっとしました。女の姿を見ると、長い黒い髪は結ばずに、後ろに垂れていました。

若い、美しい女は、いっしょうけんめいに、足もとの草を分けて、珠を探していました。彼も、また草を分けて、なにかそのあたりに落ちていないかと、熱心にたずねましたけれど、べつになにも見あたりませんでした。

「どんな色の珠でしたか?」

こういって、彼は、顔を上げて、もう一度子細に若い女を見ようとしますと、どこにも女の影は、見えなかったのです。

不思議なことがあれば、あるものだと思って、しばらく彼は、茫然として、たたずんでいました。

月は、西に傾きました。そして、思いなしか、東の空は白んで、どこからか、暁を告げるに鶏の鳴く声が聞こえてきました。もやは、いつしか晴れて、空は青みをまして頭の上に垂れかかっていました。