Japanische Klassiker mit Furigana
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やまへかえりゆくちち
山へ帰りゆく父
小川 未明
Lesen Sie 山へ帰りゆく父 (やまへかえりゆくちち) von 小川 未明 (おがわみめい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N3. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N3 · Mittel · moderne Kanji und Kana · 7.875 Zeichen · 16 Bildschirme
「私は、おまえが子供の時分に、持っていたおもちゃは、みんな粗末にしないでしまっておく。そして、ときどき出してみては、おまえのことを思い暮らすのだ。」と、父親はいいました。
これを聞くと、息子は、どんなに父親の情けをありがたく感じたかしれません。そして、その黒い石を、手に取ってつくづくとながめますと、やはり、自分にも子供の時分のことが思い出されたのであります。
ほとんど、幾十年の間、その石は、故郷のうす暗い、家の床の間に、ほこりを浴びて置かれていました。
「お父さん、私は、この石を持っていってもようございますか?」と、息子は、父親にたずねました。
「ああ、いいとも、おまえの持ってゆくぶんにはさしつかえない。なんでもほしいものがあったら持ってゆくといい。」と、父親は答えました。
長い、長い間、こうして、じっとしていた石が、ここから、どこかへ、まったく知らぬところへ持ってゆかれることになりました。それは思いもよらないことで、変化というものがどんなものの上にもくることを、思わせたのであります。
石は、息子のかばんの中へ、紙に包まれてはいりました。
彼は、また外に出て、子供の時分、よく遊んだ草原へやってきました。