Japanische Klassiker mit Furigana
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さんじょうこ
山上湖
豊島 与志雄
Lesen Sie 山上湖 (さんじょうこ) von 豊島 与志雄 (とよしまよしお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 10.912 Zeichen · 22 Bildschirme
その明るさの中で、湖面の漣が白銀色に躍り跳ねている。彼方は茫とかすんで、湖中に突き出てる半島にかかえられて、幾つかの灯がある。湖岸のバス道路を一里ばかり行ったところにある小さな町だ。
町といっても、この湖水の神社を中心にして、宿屋や店屋が数十軒並んでる部落にすぎない。三日前、私達はそこへ行ってみた。私としては、もしこの湖水が死所となるなら、この湖水の神社というものも見ておきたかったのである。
神社は普通の、むしろさびれたものだった。ただ、紅葉の季節なので、観光客が雑沓していて、興ざめの感じがした。トラックで乗りつける団体などもあった。――私達は迂濶だったのだ。山上の幽邃な湖水ということだけを当にして、紅葉の季節ということを忘れていた。けれども遊覧の客が多いほど、却って人目につかないかも知れないし、いよいよだめなら、逃げ出すだけのことだと、ひそかに考えもした。
神社の裏手に、嶮しい登り道がある。岩角や木の根を頼りに、匐うようにして登ってゆく。ずいぶん遠い。木立が深くて見通しは利かない。ふいに、断崖の上に出る。下に何があるのか、覗き見ることも出来ない高い絶壁で、鉄の梯子がさがっている。