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Japanische Klassiker mit Furigana

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いけぶくろのみせ

山之口貘詩文集

山之口 貘

Lesen Sie 山之口貘詩文集 (いけぶくろのみせ) von 山之口 貘 (やまのくちばく) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 44.477 Zeichen · 93 Bildschirme

Aozora Bunko

巡査は、取り調べの結果、主義者でないことがわかったらしく、テーブルの上に展げて見せたぼくの詩稿をまとめて返しながらそのように云った。そして、

「詩人もこのごろ頭の毛を伸ばすのか?」

と巡査は云って、いかにも主義者ばかりが頭の毛を長くしているかのような眼つきをしながら、

「主義者と間違えられては損だよ」と忠告めいた口振りまでしたのである。警察を出ると、巡査の云ったその忠告の言葉が、妙に、ぼくは気になって来た。そこで、ぼくは、また警察へ引っ返したのである。

「なんだい?」

先程の巡査がそう云った。

「すみませんが一寸お願いがあるんです」

「なんだい?」

「途中、どうも心配ですから一筆証明していただけないでしょうか」

「証明?」

「そうです。つまり私が主義者でないということの」

「そんな証明は出したことがないね」

巡査は、当惑しているらしかったが、ぼくも弱ったのである。

「詩人だという証明でもいいんですが」

「そんなのも出したことがないね」

「でも、いま調べてもらったばっかしですから、御面倒でもお願いしたいんですが」

「そんなの要らんよ君」

しかし、ぼくは懸命なのであった。いま、調べられたばかりなのであるから、その巡査の云い分が、しらばっくれているもののように感じられたので、腹の底では、腹立ちまぎれに、しつこく、なんとかお願いします