Japanische Klassiker mit Furigana
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やまでらのかい
山寺の怪
田中 貢太郎
Lesen Sie 山寺の怪 (やまでらのかい) von 田中 貢太郎 (たなかこうたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 6.147 Zeichen · 13 Bildschirme
歿くなった私の父親も云うておりました、知らずに入ると何もないが、それを知って入ると、何かしらお咎めがある、強情なお客様が入って往って、帰らなかったこともあれば、迷い込んでお遊びになっておるところへゆきかかって、病になった者もあるそうでございます、お客様、私はでたらめは申しません」
「主翁、わしの腰に何があるか見てくれ、わしも天下の御連枝、紀州侯の禄をはんでいるものじゃ、天狗や木精がいると云うて、武士が一度云いだしたことが、後へ退かれるか、お前が恐ければ、わし一人で往く」
武士は紀州から江戸の邸へ往く路で、あまり急がなくてもいいから二三日滞在しているものであった。律義者の主翁は己の家の客を恐ろしい処へやって、もし万一のことがあっては旅籠としての瑕にもなると思ったので強いて止めようとした。
「それでもお客様、この箱根のお山には、昔から……そうした方様達がお遊びでございますから」
「そんなばかげたことが、世の中にあってたまるものか、お前はおれ、武士がひとたび云いだしたからには、後へ退くことはならん」
「それでもお客様」
「いやならん、わしは往く」
武士はそのまま庭の右に廻って往った。